スタジオ定番「MDR-CD900ST」誕生から30年以上──ソニーは新たなモニター基準として背面を開放した「MDR-MV1」を投入しました。開放型ならではの抜けの良い音場と空間オーディオ制作を見据えた広帯域再生が魅力。
本記事では開放型の仕組みからMV1の強み、CD900STとの違いまで徹底解説します。
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そもそも、開放型ヘッドホンとは?
「ヘッドホン=耳を密閉して低音をズンズン鳴らすもの」というイメージが強いかもしれませんが、世界には音をあえて外へ逃がす設計思想があります。それが開放型ヘッドホン。ドライバー背面に通気孔を設け、音と空気を外部へ放出することで、スピーカーに近い自然な音場を再現できるのが最大の魅力です。
本節ではまず開放型の仕組みをひも解き、後半で密閉型との違いをわかりやすく比較していきましょう。
- 開放型の仕組み
- 密閉型との違い
開放型の仕組み
開放型ヘッドホンはハウジング背面にメッシュやスリットを設け、ドライバーが発生させた音波と空気を外部へ逃がす構造になっています。この背面解放により、ドライバー前面で発生する音波と背面で発生する音波がバランス良く拡散し、耳の外側にも適度な反射音が混ざるため、耳のすぐそばで鳴っているにもかかわらずスピーカーで聴くような奥行きと広がりを感じられるのが特徴です。
また空気圧がこもらないぶん低域が過度に膨らまず、中高域の抜けが良いクリアなサウンドを実現しやすい点もプロがモニター用途に選ぶ理由。ただし音漏れが避けられず、屋外や公共交通機関では使用が難しいというデメリットも理解しておく必要があります。
密閉型との違い
密閉型ヘッドホン
- 構造:ハウジング背面を完全に封じ、ドライバー背面の音波を内部で吸収する構造
- メリット:遮音性が高い。迫力のある重低音を得やすい。
- デメリット:反射音がこもりやすく中高域の抜けが抑えられる傾向
開放型ヘッドホン
- 特徴:ハウジング背面にメッシュやスリットを設け、ドライバーが発生させた音波と空気を外部へ逃がす構造
- メリット:スピーカーで聴くような奥行きと広がりを感じられる
- デメリット:遮音性が低く環境音も入りやすい。
シーンを選ばずリスニングできる万能さを求めるなら密閉型、スタジオでのミキシングや自宅でのリスニングで開放的な音場と正確な定位を重視するなら開放型、といった使い分けが最適解と言えるでしょう。
ソニーの開放型ヘッドホンMDR-MV1の特徴
MDR-MV1は、スタジオリファレンスの名機CD900STで培った解析力に「開放型」の広がりを融合した最新モニターヘッドホンです。ここからは5つポイントを詳しく見ていきましょう。
- 背面開放型音響構造
- 5 Hz〜80 kHzをカバーする新開発40 mmドライバー
- 360 Reality Audio/Dolby Atmos制作を想定した空間オーディオ対応
- 長時間作業でも疲れにくい快適設計
- プロ向けモニター仕様と実用的な付属品
背面開放型音響構造
(引用元:ソニー公式)
ハウジング背面を細かなメッシュで開放し、ドライバー背面の音波と空気を自然に外へ逃がすことで、密閉型では得られない奥行きのある音場を実現。抜けの良い中高域と定位の正確さが両立し、リバーブの長さやパンニングの差分までつぶさに判断できます。
さらに開放部のメッシュは内部に二重構造の吸音材を配置し、不要な共振を抑制。これにより空気感を残しつつも低域の量感を過度に削がないナチュラルフラッ”なチューニングが完成し、ミキシングからマスタリングまで長時間の作業で耳が疲れにくいバランスを実現しています。
5 Hz〜80 kHzをカバーする新開発40 mmドライバー
MDR-MV1には、ソニーが新たに設計した40 mmペーパーコンポジット振動板を搭載。エッジ部の応答を最適化し、低域は5 Hzまで余裕を持って伸び、空気を震わせるサブベースを正確に再現します。
一方でドーム部は高剛性アルミ蒸着コーティングにより80 kHzまでの超高域特性を確保。ハイレゾ音源や倍音成分の多い生楽器の定位・音色変化をモニター用途でも忠実に捉えられます。
低域が膨らまず高域が刺さらない直進性の高い特性は、リスニング用途でもリファレンスとして使える完成度です。
360 Reality Audio/Dolby Atmos制作を想定した空間オーディオ対応
次世代の音楽配信やゲーム開発で欠かせない360 Reality AudioやDolby Atmos制作に合わせ、MDR-MV1はフラットな周波数応答だけでなく立体的なエネルギーバランスを追求。水平面・垂直面ともに位相ズレを最小化するハウジング設計に加え、ドライバー内の音響抵抗を緻密に調整することで、上下左右のパンニング情報を濁さず伝えます。
サウンドエンジニアやクリエイターはもちろん、空間オーディオコンテンツを自宅で楽しむリスナーにとっても臨場感あふれる再生が可能です。
長時間作業でも疲れにくい快適設計
(引用元:ソニー公式)
装着時の負担を軽減するため、質量は約223 gと開放型としてもトップクラスの軽量性を実現。ヘッドバンドには低反発クッションを採用し、側圧を分散させつつズレにくいフィット感を両立しています。
イヤーパッドは厚さ22 mmの低反発フォームに通気性の高いベロア調ファブリックを組み合わせ、蒸れを抑えながら耳周りを包み込む形状。結果として8時間を超える編集や配信でも首・肩への負担を感じにくく、集中力を持続させてくれる設計です。
プロ向けモニター仕様と実用的な付属品
(引用元:ソニー公式)
MDR-MV1はケーブル着脱式を採用し、同梱の3 m編組ストレートケーブルはノイズの少ない左ハウジング側モノラル端子仕様。現場の邪魔にならないねじ込みロック機構で抜け落ちを防ぎます。
さらに6.3 mm標準プラグ変換アダプター、キャリングポーチが付属し、スタジオ持ち込みから外部ロケ、宅録まで幅広く対応。インピーダンスは24 Ωと低めで、USBオーディオインターフェースやポータブルDAPでも十分な駆動力を発揮し、モニター環境を選ばない汎用性の高さが魅力です。
sony mdr-cd900stとの比較
MDR-MV1の魅力をより立体的に理解するには、国内スタジオ常設率トップクラスのモニターヘッドホン〈MDR-CD900ST〉と見比べるのが最短ルートです。本章ではシリーズの成り立ちを押さえたうえで、音質傾向と用途、そして価格と入手性という3つの軸から両モデルの違いをわかりやすく解説します。
- sony mdrシリーズ概要
- 音質と用途比較
- 価格と入手性
sony mdrシリーズ概要
ソニーのMDRシリーズは1980年代に「Monitor Dynamic Reference」の頭文字を冠して誕生し、業務用モニターから一般リスニング向けまで幅広い派生モデルを展開してきました。
1991年発売の〈MDR-CD900ST〉は、ソニー・ミュージックと共同開発した純然たる業務用モニターとして位置づけられ、国内レコーディングスタジオの標準リファレンスに定着。
2023年登場の〈MDR-MV1〉は、CD900STで培った解析力を踏襲しつつ空間オーディオという新市場に対応すべく設計された開放型モニターという立ち位置で、シリーズにおける最新の「スタジオリファレンス」を担います。
音質と用途比較
CD900STはミッドレンジの立ち上がりと解像度を最優先した密閉型で、ボーカルの帯域や楽器の定位・バランスを点で捉える作業に長けています。反面、サブベースの再現や音場の広がりは控えめ。
MDR-MV1は背面開放構造と新開発40 mmドライバーの恩恵で奥行きのある立体音場と5 Hzまで沈む低域を両立し、Dolby Atmosや360 Reality Audioの制作現場で空間配置を正確に確認できます。
密閉型で外部遮音が必要なレコーディング・ブースではCD900ST、ミキシングやマスタリングで空間情報を重視したい場面ではMV1という使い分けが理想的です。
価格と入手性
MDR-CD900STは業務用流通品ながら実売18,000〜20,000円で安定供給され、国内楽器店やオンラインショップで常時在庫を見つけやすいのが利点です。修理パーツも豊富で、イヤーパッドやケーブルは千円台から入手可能。
MDR-MV1の市場価格は39,000〜44,000円前後とCD900STの約2倍ですが、開放型モニターとしては競合機より割安な設定。発売から日が浅いもののソニー公式ストアや大手量販店で在庫が潤沢に確保されており、予約なしでも入手しやすい状況です。
ランニングコストではCD900STが優位、最新機能と将来性ではMV1が優位――というのがコストパフォーマンス面の総評と言えるでしょう。
ちなみに、ソニーから開放型イヤホンも発売されている!
ヘッドホンだけでなく、ソニーは耳をふさがない〈LinkBuds〉シリーズなど開放型イヤホンも展開しています。リング型ドライバーを採用し、環境音を取り込みながら音楽や通話を楽しめるのが特徴。
自転車通勤やリモート会議で「周囲の声を聞き逃したくない」というシーンに最適で、わずか4 g台の超軽量設計は長時間装着しても圧迫感ゼロ。さらにマルチポイント接続やIPX4相当の防滴性能を備え、日常使いでもストレスなく活躍します。
ヘッドホンのMDR-MV1と使い分ければ、屋内外問わず開放的なソニーサウンドをフル活用できます。
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まとめ
MDR-MV1は、CD900ST譲りの高精度モニター性能に開放型ならではの広大な音場と空間オーディオ対応を付加した次世代リファレンス。CD900STは密閉型で録音ブースの定番、MV1はミキシングやマスタリングで立体定位を確認したいクリエイター向け――という役割分担が見えてきました。
快適な装着感や修理しやすい仕様も備え、長期の制作現場でも頼れる存在です。スタジオ用ヘッドホンのアップグレードを検討中なら、MV1を試さない手はありません。開放型の自然なサウンドで、あなたの作品とリスニング体験をワンランク引き上げましょう。
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