スマホで聴く圧縮音源も、ハイレゾ級の厚みや抜ける高音に変える――それがソニーのAIアップスケーリング技術「DSEE Extreme」です。ウォークマンやWH-1000XM5など対応機種で設定をオンにするだけで、MP3やストリーミングの失われた情報をリアルタイム復元。
この記事では仕組みやHXとの違い、電池消費への影響、対応モデルまで初心者でもわかりやすく徹底解説します。
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DSEE Extremeとは?
DSEE Extreme(Digital Sound Enhancement Engine Extreme)は、ソニーが開発した最新のAIアップスケーリング技術です。圧縮やストリーミングで失われた高域や微細な余韻成分をデバイス内のプロセッサでリアルタイム解析し、ハイレゾ相当の情報量へ復元します。
音源のジャンル・楽器構成・ボーカルの有無までも瞬時に判断し、それぞれに最適な補完アルゴリズムを適用するため、MP3やAACでも原音の空気感やライブ感が蘇るのが特徴。ヘッドホンのV1/QN1プロセッサやウォークマンZX/AシリーズのEdge-AIにより、オフライン再生はもちろん、SpotifyやYouTube Musicなどのストリーミングでも効果を発揮します。
設定は基本的に「オン」にするだけなので、オーディオ初心者でも手軽に高音質を体験できます。
- DSEE Extremeの仕組み
- DSEE HXとの違い
DSEE Extremeの仕組み
DSEE Extremeはソニー独自の深層学習モデルを採用し、過去数百万曲のスタジオマスター音源と圧縮後の波形を比較して学習しています。再生中はEdge-AIが44.1 kHz/48 kHzのストリームを数ミリ秒刻みで解析し、欠損した高域ハーモニクスやアタック成分を推測生成。
さらにタイムドメインの復元も同時に行い、空気感や残響を自然に補完します。音楽のジャンルやリアルタイムの音量バランスも考慮するため、ロックでは力強いギターリフ、ジャズではブラシが擦れる微細音まで再現。
こうした高度演算を端末側で完結させることで、インターネット速度や回線品質に左右されず、常に最適な高音質が得られるのがメリットです。
DSEE HXとの違い
DSEE HXは主に固定アルゴリズムと帯域補間により失われた高域を推測していましたが、Extremeではディープニューラルネットワーク(DNN)を導入し、音源の特徴を文脈的に復元する点が大きく異なります。
HXは16 bit/44.1 kHzの楽曲を最大96 kHz相当までアップスケールする一方、Extremeは演算結果を192 kHz相当の内部精度で処理してから48 kHzまでダウンサンプリングし、時間軸の揺らぎや定位の変化まで補正。さらにExtremeは「タイプ判定→最適化→補完」の三段階を1曲内で動的に繰り返すため、イントロとサビの質感が変わっても違和感なく滑らかに接続されます。
要するにHXは帯域の穴埋め、Extremeは音楽全体の質感再構築と覚えると違いがイメージしやすいでしょう。
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DSEE Extremeを使っても音質が変わらないという噂は本当?
SNSや掲示板では「DSEE Extremeをオンにしても違いがわからない」という声が散見されますが、多くの場合は再生条件や聴取環境が原因です。まず元の音源が320kbps以上の高ビットレートだと補完できる情報が少なく、変化が小さく感じられます。
またAirPodsなど非ソニー製イヤホンを接続している場合は、ヘッドホン側がEdge-AI処理を行えず効果が限定的になります。さらに静かな室内でボリュームをやや上げ、弦楽器や女性ボーカルなど高域成分の多い曲を聴くと違いが判別しやすい傾向があります。
「音質が変わらない」という噂は、音源のビットレート・対応機種・リスニング環境のいずれかが最適化されていないケースが大半。設定と条件が整えば、高域の伸びや空間の奥行きがはっきり体感できます。
DSEE Extremeの効果
「DSEE Extremeって実際どこが良くなるの?」──そう疑問に思う人も多いでしょう。結論から言うと、本機能は①圧縮音源をハイレゾ相当まで補完し、②失われがちな高域の艶を復活させ、③ライブ会場のような奥行きと立体感を再現する、という三つの軸で音質を底上げします。
ここではそれぞれの効果を具体的に解説するので、ON/OFFで聴き比べる際のポイントとして参考にしてください。
- MP3→ハイレゾ化
- 高域の艶出し改善
- ライブ音場拡張
MP3→ハイレゾ化
MP3やAACなどの圧縮音源は、データ容量を抑えるために人の聴覚で感じ取りにくい高域や微細な余韻成分が間引かれています。DSEE ExtremeをONにすると、AIが曲想と楽器構成をリアルタイム解析し、欠落した周波数帯域を推測生成。
例えば44.1 kHz/16 bitのMP3が、内部処理で192 kHz相当の情報量まで拡張され、弦楽器の伸びやボーカルの息遣いが原音に近い滑らかさで復活します。スマホのストリーミングでも高額なハイレゾ音源を購入したときに近い透明感が得られるため、手持ちのライブラリを買い直さずに音質向上できるのが大きなメリットです。
高域の艶出し改善
圧縮やダウンロード時に削られた20 kHz前後の超高域は、音楽の艶や抜けの良さに直結します。DSEE Extremeは深層学習したスペクトルパターンを用いて、高域ハーモニクスの欠損を帯域ごとに補い滑らかな倍音構造を再構築。
結果としてシンバルの余韻が金属的に伸び、ボーカルのブレスが自然に立ち上がるため、耳当たりは柔らかいのに情報量が豊富という理想的な質感に近づきます。特にJ-POPやK-POPのように高域エネルギーが多い楽曲では顕著で、イヤホンを変えたかのようなクリアさを手軽に体験できます。
ライブ音場拡張
DSEE Extremeは周波数補完だけでなく、タイムドメインの揺らぎや残響もAIで再現します。観客の歓声やホールの残響音を補強し、左右だけでなく前後方向への奥行きも演算的に付加するため、ライブ音源やクラシック録音ではステージの空気感まで蘇ります。
さらにEdge-AIが楽曲のダイナミクスを検知し、静かなパートでは微細な反射音を強調、盛り上がるサビでは広い空間へ音像を拡張といった動的制御を実施。これにより「目を閉じると部屋がコンサートホールになる」ような没入感が得られ、ヘッドホンで聴いていることを忘れるほどリアルなサウンドステージを楽しめます。
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DSEE Extremeの電池消費はどれくらい?
AIプロセッサが常時動作するDSEE Extremeは、圧縮音源を高音質化する代わりにバッテリーへ少なからず負荷をかけます。ただし「何時間も再生時間が縮む」というほど深刻ではなく、実使用では約5〜15 %の追加消費が目安。
ここでは公称値と実測データをもとに、どの程度の減り方になるのか、そして再生時間をキープする設定のコツを紹介します。
- DSEE Extremeの電池消費目安
- DSEE Extremeの節電設定とコツ
DSEE Extremeの電池消費目安
まずは対応ヘッドホン/ウォークマンでどれほど再生時間が変わるのかを確認しましょう。
ソニー公称値では、WH-1000XM5の場合「ANC+DSEE Extreme ON」で約30 時間、「ANCのみ」で約34 時間とされており、おおむね1割弱の短縮です。完全ワイヤレスのWF-1000XM5でも、DSEE Extremeを有効にすると単体再生が最長8時間→最長7時間へと約12 %低下する程度。
ウォークマンNW-ZX707ではストリーミング再生時に約5 %前後の追加消費という測定例が多く、長時間リスニングでもバッテリー切れが気になるシーンは限定的です。要するに「丸一日持たないほどではないが、長距離フライトや終日外出時は注意」というのが実際の体感値といえます。
なおLDAC(990 kbps)+DSEE Extremeの組み合わせは最も電力を消費するため、外出先ではAACに切り替えると再生時間を稼げます。
DSEE Extremeの節電設定とコツ
続いて、音質を維持しつつバッテリーを長持ちさせる実践的なテクニックを紹介します。
最も確実なのは、ストリーミング再生時に「ストリーミング品質=標準」へ落とし、必要に応じてDSEE Extremeを「自動」設定にすること。ソニー製アプリでは再生中の音源ビットレートを検知し、320 kbps以上ならアップスケーリング処理を緩めるため、体感差が小さいまま電力を節約できます。
またWH/WFシリーズは「音質優先→接続安定優先」に切り替えるとBluetooth送信ビットレートが下がり、Edge-AI演算量が減少して最大5 %の省電力化が可能。さらに使わないときは「スタンバイタイマー」を30 分設定にしておけば、未操作時に自動でDSEEを含む全処理が休止し電池持ちが向上します。
屋内ではノイズキャンセリング強度を中〜弱に落とすだけでも演算負荷が下がるため、DSEE Extremeをオンにしたままでもバッテリー残量を気にせず快適に楽しめます。
DSEE Extreme対応機種を紹介
DSEE Extremeは対応プロセッサ(QN1/V1/Edge-AI)を搭載したソニー製デバイスのみで動作します。
具体的な対応機種はこちら!
- WH-1000XM5・WH-1000XM4(FWアップデート)といったオーバーイヤー型
- LinkBuds Sといった完全ワイヤレス
- ウォークマンZX707・A306といったハイレゾDAP
基本的に2020年以降のフラッグシップクラスならほぼ対応していると覚えておくと便利です。購入前は必ず製品ページで「DSEE Extreme/Edge-AI」表記を確認し、旧モデルの「DSEE HX」と混同しないよう注意しましょう。
DSEE Extreme対応機種おすすめ5選
圧縮音源をハイレゾ相当へ“蘇生”させるDSEE Extremeは、ソニー独自のAIアップスケーリング技術です。ここではノイズキャンセリングヘッドホン、完全ワイヤレス、そしてウォークマンの計5機種を厳選し、それぞれの魅力とDSEE Extreme(またはDSEE Ultimate)活用ポイントを紹介します。
ソニー(SONY) ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドホン WH-1000XM5
ハイレゾ級&NC性能を両立した現行フラッグシップ
WH-1000XM5は、新ドライバーと統合プロセッサーV1の採用で遮音性能を大幅に高めつつ、DSEE Extremeが自動で失われた高域情報を補完。LDAC接続時でもAIが曲調に応じてリアルタイム解析し、ストリングスの艶やボーカルの余韻を自然に再現します。アプリ側でDSEEを〈AUTO/OFF〉に切替えられるため、バッテリー優先モードなら最大30 時間のロングライフも維持可能です。
ソニー(SONY) ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン WH-1000XM4
値頃感と完成度の高さで今なお定番
先代XM4はDSEE Extreme初搭載モデル。“AIアップスケール+NC”のコンビネーションが評価され、発売から数年経った今も愛用者多数。30 時間再生、マルチポイント対応、装着検知など基本機能はXM5とほぼ同等で、価格が下がった分コストパフォーマンスは抜群です。ハイレゾ音源を持っていないユーザーでも、YouTube MusicやSpotifyの圧縮音源が暖かみのある音色へ変化する体験を手軽に味わえます。
ソニー(SONY) ワイヤレスノイズキャンセリングステレオイヤホン LinkBuds S WF-LS900N
世界最小クラスの軽量NC完全ワイヤレスでアップスケール
わずか約4.8 gの極小ハウジングながら、LinkBuds SはヘッドホンクラスのDSEE Extreme処理を搭載。スマホアプリで〈AUTO〉を選ぶと楽曲をAIが瞬時に解析し、モバイルストリーミングでも高域の伸びと奥行きをプラスしてくれます。ON時は再生時間が公称20→17 時間(ケース併用)にやや短くなるため、移動中だけ有効にするなどシーン別の使い分けがおすすめです。
ソニー(SONY) ウォークマン 64 GB ZXシリーズ NW-ZX707
DSEE Ultimateでローカル音源を常時ハイレゾ化
ZX707はAndroid 13搭載のハイエンドDAP。ストリーミングのほか内蔵メモリーやmicroSDに保存したFLAC/MP3も、AI解析を進化させたDSEE Ultimateが24 bit/192 kHz級へアップスケールします。本体単体で約25 時間、BT送信でも約22 時間と長時間再生が可能。銅メッキシャーシや大型固体高分子コンデンサーなど高音質パーツを多数投入し、ヘッドホンアンプを経由した出力もパワフルです。
ソニー(SONY) ウォークマン 32 GB A300シリーズ NW-A306
手のひらサイズでAIアップスケールを常に携帯
A306は約113 gの軽量ボディにDSEE Ultimateを内蔵。スマホより小さな筐体ながら、ストリーミング再生で最大36 時間というスタミナを誇り、外出先でもDSEEを常時ONにしやすいのが魅力です。カジュアルユーザーがYouTubeの320 kbps音源を聴いても、高域の抜けや空間表現がブラッシュアップされるのを体感できます。USB-DAC機能も備え、PC接続で手持ちの有線ヘッドホンを活用できる点も便利です。
まとめ
DSEE Extremeは、AI補完で圧縮音源をハイレゾ級に引き上げるソニー独自の先進技術です。従来のDSEE HXより解析精度が向上し、高域の艶とライブ感を自然に再現。
電池消費は約5〜15%増と許容範囲で、節電設定や接続コーデックを調整すれば長時間再生も問題ありません。対応機種はWH-1000XM5/WF-1000XM5など2020年以降のフラッグシップが中心。
音質変化を感じにくい場合はビットレートや再生環境を見直し、ON/OFFで聴き比べると効果を実感しやすくなります。まずはお持ちのソニー製デバイスで設定を有効にし、手持ちのMP3やストリーミングが“生まれ変わる”体験をぜひ味わってみてください。