「スマホ用DACチップでもハイエンド級の音」と評価されるES9038Q2M。ESS Technologyの最新世代コアを小型パッケージに凝縮し、ハイレゾ再生・低歪・省電力を同時に実現します。
本記事ではES9038Q2Mの仕組みと魅力をやさしく解説し、上位のES9038PROや競合チップとの音質差まで徹底比較します。
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Es9038q2m とは?
(引用元:ESS Technology公式)
ES9038Q2Mは、ESS Technology社のSABREシリーズで最も小型かつ高性能なステレオDACチップです。上位ES9038PROと同じHyperStream® IIアーキテクチャを採用しながら、消費電力を大幅に抑えた省電力設計が特徴。
32bit/768 kHz PCMとDSD512までのネイティブ再生に対応し、129 dBという業界トップクラスのダイナミックレンジと−120 dBの低歪率を実現します。さらに8種類のデジタルフィルターや32bitデジタルボリュームを内蔵し、ポータブルDACドングルやハイレゾDAP、据え置きヘッドフォンアンプなど幅広い機器に採用。
コンパクトでもハイエンド並みの音質を引き出せることから、“モバイルオーディオの救世主”とも称される人気DACです。
Es9038q2mの特徴
ここでは以下の4つの観点から、その実力を紐解いていきましょう。
- デジタルフィルター
- ハイレゾ対応
- 低歪性能
- 省電力設計
デジタルフィルター
まず注目したいのが、ユーザーの好みに合わせて選べる8種類のデジタルフィルター(Linear Phase Fast/Slow、Minimum Phase Fast/Slow、Apodizing、Brick Wall、Hybrid、Reserved)。フィルターごとにプリリンギングや過渡応答の癖が異なるため、クラシックで余韻を重視するならMinimum Phase Slow、EDMで立ち上がりの鋭さを求めるならLinear Phase Fastといったチューニングが可能です。
さらにI²C経由で動作中に切り替えられるため、プレイヤーアプリ側でタップするだけで音のキャラクターを即座に聴き比べられる点も魅力。音作りで遊びたいDIY派からプロの現場まで重宝される柔軟な設計です。
ハイレゾ対応
ES9038Q2Mは最大32bit/768 kHz PCMとDSD512(22.6 MHz)ネイティブ再生に対応し、最新ハイレゾ音源もスペック上の頭打ちなしで処理できます。内部は64bit Accu-Sym™ DSPで演算されるため、量子化ノイズや丸め誤差を極小化。
アップサンプリング再生やMQAフルデコードを行う場合でも情報量を取りこぼさず、ピアニッシモの繊細な空気感からフォルテシモのダイナミックレンジまで余裕をもって再現します。これによりポータブル環境でもスタジオマスタークオリティに迫る再生体験が期待できるのです。
低歪性能
HyperStream IIと高精度マッチド・レジスタの採用により、ES9038Q2Mはダイナミックレンジ129 dB、THD+N −120 dBというクラス最高水準を実現。信号経路には32bit 8チャネルΣΔDACを左右4チャネルずつ並列駆動する「モノモード」にも対応し、変換誤差を平均化して微小信号の線形性をさらに向上させます。
結果としてサーっとしたホワイトノイズはほぼ聴こえず、残響の消え際や録音現場のアンビエンスまでもクリアに描写。ボリュームを上げても音像が膨らまず、ジャズのベースラインやクラシックのホールトーンが自然に広がる静寂の黒が堪能できます。
省電力設計
高音質だけでなくモバイル運用を想定した省電力もQ2Mシリーズの大きな武器。シングルサプライ3.3 V駆動で、消費電流は無信号時約40 mAとES9038PROの1/4以下。
内蔵LDOレギュレーターとオンチップクロックを活用すれば外付け部品を削減でき、基板面積・コスト・バッテリー持ちを同時に改善できます。さらに「Auto Mute/Standby」モードによりアイドル時の電流を数mA単位まで抑制でき、USBドングルDACがスマホのバッテリーを急速に消耗する問題を大幅に緩和。
省電力化で発熱も少ないため、小型筐体でも温度ドリフトのない安定したリスニングが可能です。
Es9038q2mとその他製品の音質を徹底比較
ES9038Q2Mの実力を正しく把握するには、ほかのDACと聴き比べるのが近道です。ここでは価格帯や用途の似通った5チップをピックアップし、「ダイナミックレンジ」「音の傾向」「設計上の強み」の三点を軸に比較します。
スペック表の数字だけでなく、実機レビューで語られる“聴感上の違い”にも注目しながら見ていきましょう。
- es9038proとの比較
- es9068asとの比較
- AK4493との比較
- CS43198との比較
- es9069qとの比較
es9038proとの比較
ES9038PROは8チャネル構成を左右4チャネルずつ並列駆動できるフラッグシップで、ダイナミックレンジは140 dB超と圧倒的。ただし電源が±15 V級と大きく、実装も発熱管理も重装備になります。
対してES9038Q2Mは129 dBとやや下がるもののシングル3.3 V駆動で、モバイル機器でも放熱の心配が少ないのが利点。音傾向はPROが重厚かつハイスピード、Q2Mはややウォームで奥行きを感じやすいと評され、据え置きで“究極の解像度”を狙うならPRO、ポタ環境で“ハイエンド風味”を得るならQ2Mが現実的な選択肢と言えます。
es9068asとの比較
ES9068ASはMQAフルデコードをハードウェア実装したポータブル向け最新世代。周波数特性はES9038Q2Mに近く、DSD512まで対応しますが、ダイナミックレンジは122 dBと若干控えめです。音の傾向は高域がきらびやかで、リスニング用途で抜け感を重視する人に好適。
一方ES9038Q2Mは低域の厚みとS/Nの高さでアタック音の質感が自然に伸びるため、ギターやベース主体の楽曲でリアリティを求めるリスナーに刺さります。MQAが必須かどうかが選択の分かれ目になるでしょう。
AK4493との比較
旭化成エレクトロニクスのAK4493はVELVET SOUNDと呼ばれる滑らかな中域が特徴で、ダイナミックレンジは123 dB。ES9038Q2Mに比べると高域のエッジがやや丸く、長時間聴いても疲れにくいマイルド系です。
逆にES9038Q2Mは位相特性がシャープで、シンバルの余韻やホールトーンの伸びがクリアに分離。ジャズのブラシワークやクラシックの弦楽四重奏など細かなニュアンスを聞き取りたい場合はQ2M、有機的で柔らかい音色を好むならAK4493が優勢と言えるでしょう。
CS43198との比較
Cirrus Logic CS43198は低消費電力とNOS(ノンオーバーサンプリング)モードが売りで、モバイルDAPやドングルに多く採用されています。S/Nは130 dBとQ2Mに匹敵するものの、音色はアナログライクで低域がタイト。
ES9038Q2Mは可聴帯域端での歪率低減が効き、ステレオイメージが一歩前に出る印象です。電池持ちとNOSの音を優先するならCS43198、ラインアウト品質とフィルター切替の遊び幅を求めるならQ2Mが有利といった住み分けになります。
es9069qとの比較
ES9069QはESSが2024年に発表した最新ミッドレンジDACで、Q2Mを凌ぐ131 dBのダイナミックレンジを謳いながらも電流消費は約30 mAへ削減。音の傾向はES9038Q2Mよりニュートラルで、ピーク表現が滑らかになった反面、低域の押し出しは控えめとのレビューが目立ちます。
ES9038Q2Mは依然として力感と空間の広がりが秀逸で、ポータブルアンプや据え置きヘッドホン環境でライブ感を重視するユーザーには根強い人気。最新世代の省電力を取るか、成熟した音の厚みを取るかが選択ポイントです。
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Es9038q2m搭載DACの人気おすすめ5選
ここでは「据え置きでじっくり聴き込みたい」「手軽にPCオーディオを強化したい」など、目的別に選びやすい5モデルを厳選しました。接続端子や機能が似通っていても、筐体設計や電源回路の差で音のキャラクターは大きく変化します。
出力形式・デコード上限・操作性を比べながら、自分のシステムと使い方にハマる1台を見つけてみてください。
Fosi Audio ZD3 デスクトップ DAC プリアンプ
ZD3はES9039Q2Mをデュアル・モノ構成で駆動し、SNR126 dB/THD+N0.00008%というハイエンド級スペックを実現。USBに加えHDMI ARC・光・同軸・Bluetooth 5.0(aptX HD)を搭載し、テレビやスマホの音も一括アップグレードできます。出力はXLRバランス+RCAラインの二系統で、プリアンプモードに切り替えればパワーアンプやアクティブスピーカーの直結もOK。多入力のハブ兼DACとしてデスクトップをスリムにまとめたい人にうってつけです。
REIYIN DA-Pro オーディオHiFi USB DAC ES9038Q2M
DA-ProはType-Cバスパワー駆動ながらPCM32bit/768 kHzとDSD512ネイティブに対応し、ポータブル環境でも“スタジオマスター”に迫る解像度を獲得。筐体はアルミ切削で放熱に優れ、底面のスリットが熱だまりを防ぎます。専用Windowsドライバーを導入すればASIO出力も可能で、配信やDTMの低レイテンシー再生にも強みを発揮。ボリュームレス設計ゆえ純粋なラインアウト用途に特化しており、据え置きヘッドホンアンプやアクティブスピーカーと組み合わせれば価格以上の音場表現を体感できます。
HiFi デュアル ES9038Q2M USB DAC COAX OPT
名前のとおり2基のES9038Q2Mをパラレル駆動し、ダイナミックレンジと左右セパレーションを大幅強化したミドルクラス機。USBはXMOS XU208チップ経由でPCM384 kHz/DSD256をサポートし、同軸・光入力も装備。低ノイズLDO&大容量電解コンを基板中央に集約するレイアウトで電源インピーダンスを抑え、厚みのある低域と滑らかな中域を両立しています。前面3.5 mm/6.3 mmヘッドホン端子はゲイン二段階切替に対応し、インピーダンスの高い開放型ヘッドホンでも余裕の駆動力を発揮。コスパで“デュアル構成”を体験したい入門者に好適です。
TOPPING D10s DAC Mini USB DAC XMOS XU208 ES9038Q2M
手のひらサイズながらUSB-C入力専用に絞り、オーディオ信号を最短経路でES9038Q2Mへ送り込む“シンプル・イズ・ベスト”設計。PCM384 kHz/DSD256対応に加え、基板上のI2S信号を背面同軸端子へ再出力できるので、外部DAC用DDCとしても活躍します。フロントのオレンジOLEDにはサンプルレートとフォーマットが大きく表示され、ビットパーフェクトの確認も一目瞭然。電源はUSBバスパワーのみで、発熱も少ないためノートPC横やRaspberry Piオーディオの相棒に最適な“万能ポケットDAC”です。
LOXJIE D30 2024 DAコンバーター & ヘッドホンアンプ一体型 「ES9039Q2M」DAC搭載
アップグレード版D30は最新ES9039Q2M+MQAフルデコード対応で、PCM768 kHz/DSD512再生をサポート。Bluetooth 5.1受信(LDAC)や独立1.5 W×2ヘッドホンアンプを内蔵し、デスク上をこれ一台で完結できます。ライン出力はRCA+TRSバランスの二系統を持ち、背面スイッチでFIX/PRE切替が可能。遮音性の高いアルミ丸型筐体とカラー液晶はデスクのインテリア性も抜群で、“据え置きの見栄え”と“ポタ機並みの多機能”を両立したい欲張り派におすすめです。
また、下記では【2025年最新】音質革命!スマホ・PCを高音質化するおすすめDAC厳選15選について詳しく解説してます。気になる方はぜひ参考にしてみてください。 音楽をより高音質で楽しみたいと思いませんか?スマホやPCでの音楽再生が一般的になった今、音質にこだわるオーディオファンにとって、音源を最大限に活かすためのデバイスが必要です。 そこで注目されているのが ... 続きを見る
【2025年最新】音質革命!スマホ・PCを高音質化するおすすめDAC厳選15選
まとめ
ES9038Q2Mは、上位モデル譲りの高S/N設計と32bit/768 kHz対応をわずか3.3 V駆動の小型パッケージに凝縮したモバイル時代のハイエンドDAC。比較した5チップと比べても、音の厚み・フィルター遊び・実装自由度のバランスは依然トップクラスです。
ハイレゾを外でも妥協せず楽しみたいなら、まずはES9038Q2M搭載機を選んでおけば間違いありません。俊敏な立ち上がりと静寂の黒を体感し、愛機の潜在能力を最大限に引き出しましょう。